こんにちは!ぜんりょう設備企画です。
「施工図マニュアル」は、空調衛生設備の施工図の描き方を、手順に沿って解説するシリーズです。第1回は、施工図づくりの全体像として、設計データを受け取ってから納品するまでの流れを、各段階で「何を」「なぜ」「どこまで」やるのかまで踏み込んで紹介します。
施工図って、設計データをもらったら、すぐ配管を描き始めればいいんですよね?
いきなり描き始めると、手戻りのもとになるんだ。まずは全体の流れをつかもう!
受け取った設計データが、6つのステップで「現場で使える施工図」になる!
この記事のねらい
施工図の作業は、いきなり配管やダクトを描くところから始まるわけではありません。全体の流れと各段階のゴールを知っておくと、今どこにいて次に何をすべきかが分かり、手戻りを大きく減らせます。
施工図の作図の全体の流れ
STEP 1設計データの受領・確認
目的:正しい最新の情報で作図を始めるために、受け取ったデータの抜け・版・縮尺を確かめる。
やること
図面リストと届いたファイルを1枚ずつ照合し、足りない図面(構造の断面リスト、天井伏図、機器表など)を洗い出す 図面枠の日付・Rev.記号・変更箇所の雲マークを見て、最新版かどうかを確認する 意匠・構造・設備の各図面を通り芯で重ね、原点や縮尺のずれがないかを確認する 不足資料や不明点は、この時点で一覧にして元請けの担当者へ確認を依頼する 現場のコツ:受け取ったデータは、加工する前に「受領日付き」のフォルダにそのまま保管しておくと、後から版の確認が必要になったときに迷いません。
注意:古い版で描き始めると、後で全面的に描き直しになることがあります。版の確認は必ず最初に行いましょう。
地味だけど、ここで梁と天井の高さを押さえておくと、あとの作図がすごく楽になるよ。
STEP 2ベース図(白図)づくり
目的:建築図を、設備の検討に必要な情報だけが見える「描きやすい下図」に整える。
やること
建具記号・家具・寸法など、設備の検討に不要な表記を非表示にする(削除はしない) 通り芯・部屋名・天井高さ・床レベル(FL)の情報を残し、見やすい色に整理する 構造図から梁の位置・大きさ(梁せい)とスラブ段差を読み取り、平面図に重ねる 天井高さと梁下の寸法から、天井内に使える高さ(有効スペース)を部屋ごとに把握する 現場のコツ:梁せいと天井高さは、ルート検討で一番使う情報です。部屋ごとに「梁下から天井まで何mmあるか」をメモしておくと、作図が一気に速くなります。
STEP 3ルート検討・作図
目的:配管・ダクトを、施工でき、将来も点検・更新できるルートで図面に落とし込む。
やること
大きいもの・曲げにくいもの・勾配が必要なもの(ダクト、排水管など)から先にルートを決める 機器・器具の位置(機器表・総合図)を確認し、主管から枝管へと順に描いていく 管種・管径・ダクトサイズ・高さ(FL+〇〇、CH-〇〇など)を、描きながら記入する 梁を貫通する箇所はスリーブの位置と大きさを、構造の条件とあわせて検討する 現場のコツ:最初は細部にこだわらず、建物全体の主要ルートを先に通してから詳細を詰めると、大きな手戻りを防げます。
描いていて「これ、納まらないかも…」と思ったらどうすればいいですか?
解決案を添えて、すぐに質疑! 早く出すほど、現場も助かるんだ。
STEP 4納まり検討・質疑
目的:図面上の干渉や、設計図どおりでは施工できない箇所を見つけ、解決する。
やること
断面図を切って、梁・天井・ほかの設備との高さ関係を確認する 電気設備・他工事の図面や総合図と重ね、干渉や近接がないかを確認する 設計図どおりでは納まらない箇所は、解決案を添えて質疑書にまとめる 質疑の回答が出たら、図面に反映し、回答内容を記録として残す 現場のコツ:質疑は「見つけたらすぐ出す」が基本です。まとめて出すより、早く1件ずつ出したほうが現場の判断も早くなります。
STEP 5セルフチェック
目的:提出前に、自分で見落としを見つけて直す。
やること
系統図と照合し、管径・系統・機器番号の食い違いがないかを確認する 寸法・高さ・管径の記入漏れや、文字の重なりがないかを確認する 印刷(PDF)して、実際の用紙サイズで読みやすいかを確認する 前回提出時からの変更箇所に、雲マークや変更記号を付けたかを確認する 現場のコツ:画面上だけでなく、一度紙やPDFで全体を見ると、記入漏れや見づらさに気づきやすくなります。
STEP 6提出・修正・納品
目的:現場の確認を経て、承認された図面を納品し、変更にも対応する。
やること
提出前に、図面リスト・版・日付をそろえ、提出用のファイル名で保存する 現場や元請けのチェックバック(赤書き)を受け取り、指摘事項を一覧にして修正する 修正したら版を上げ、変更箇所が分かるように記録する 現場のコツ:指摘事項を「受け取った日・内容・対応した日」で一覧にしておくと、対応漏れを防げます。
よくあるつまずき
つまずきやすいやり方
●データを受け取ってすぐ描き始める
●細かい配管から描いてしまう
●質疑を最後にまとめて出す
●画面上だけでチェックする
うまくいくやり方
●最初にデータとベース図を整える
●大きいもの・勾配のあるものから描く
●気づいた時点で早めに質疑を出す
●PDFや紙でも全体を確認する
流れが分かると、今なにをすればいいのか見えてきました!
その感覚が大事。次回は、最初の一歩「設計データの確認」を詳しく見ていこう!
まとめ
施工図は、準備・作図・検討・確認・修正を繰り返しながら仕上げていくものです。次回からは、各ステップを1つずつ詳しく解説していきます。
この記事を書いた人
前田 遼佑株式会社ぜんりょう設備企画 代表取締役
1級管工事施工管理技士
サブコンで施工管理に携わり、現場代理人として現場を担当。現場で「納まっていない図面」に苦労した経験から、2023年に独立し、同年5月に株式会社ぜんりょう設備企画を設立。施工管理の目線を活かし、空調衛生設備の設計図・施工図・BIMモデルの作成を手がけている。
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株式会社ぜんりょう設備企画は、大阪を拠点に、空調衛生設備の設計図・施工図・BIMモデル作成を一気通貫で手がけています。「現場に出る前」に納まりの問題解決を目指します。
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