【現役図面屋が解説】施工図を描く前の「白図化」とは?ベース図づくりの手順とポイント
こんにちは!ぜんりょう設備企画です。
施工図を描こうと設計図のCADデータを開いたとき、「レイヤーがぐちゃぐちゃで、文字化けまでしている…」と頭を抱えた経験はありませんか?そのまま描き始めるのは、ほぼ不可能ですよね。私たちの経験上も、最初からきれいに整理されたCADデータに出会うことはまずありません。
そこで今回は、施工図づくりの最初の工程である「ベース図(白図)づくり」の手順とポイントを解説します。Tfasでの作業を例にしていますが、Rebroなどほかの設備CADでも考え方は同じです。
白図化とは?施工図の出来を左右する最初の工程
施工図は、意匠図・構造図・設備図をもとに作成・検討します。白図化とは、受け取った設計図から設備の検討に必要な情報だけを残し、さらに天井や梁などに「属性」を持たせて、配管やダクトのルートを検討できる下図に整える作業のことです。
ここを丁寧に行うかどうかで、その後の作業効率は大きく変わります。手を抜くと後工程で手戻りが増え、最悪の場合、納まっていない図面をお客様にお出しすることにもなりかねません。
POINT
白図化は「配管・ダクトを描く前の下ごしらえ」です。ここで建物を理解しておくほど、ルート検討が速くなり、納まりの問題も早く見つかります。
白図化の手順
FLOW / 白図化の手順
1. 受け取ったデータを確認し、不要な表記を非表示にする
設計図のデータは、DWGかDXF形式で受け取ることがほとんどです。まずは文字化けや縮尺、原点の位置などを確認しましょう。
そのうえで、建築の設計図には必要でも、設備の施工図ではあまり使わない表記を非表示にします。たとえば建具記号、壁間の寸法、什器の細かい表記などです。一方で、部屋名は残しておきます。機器表の部屋名を見ながら機器をプロットするときに必要になるからです。
Tfasの場合、シートに分けて整理すると、設計図の更新版を受け取るたびにシート分けをやり直す手間がかかります。レイヤーを非表示にしておけば、修正版を読み込んでも非表示の状態が保たれるので効率的です。シートだけで整理している方は、ぜひレイヤーも使いこなしてみてください。
2. 通り芯を属性化する
細かい部分を描いていると、「この通り芯は何通りだったかな?」と、図面の端までスクロールして確認することがありますよね。通り芯を属性化しておけば、どこを描いていても瞬時に確認できます。Tfasでは、建築タブの通り芯のコマンドから簡単に設定できるので、必須の作業にしておきましょう。
3. 天井高さを属性化する
意匠図には、部屋ごとの天井高さが記載された図面があります。これをCAD上で属性化しておくと、断面を表示したときに天井と構造体の間の有効スペースがひと目で分かり、納まりの確認がスムーズになります。
天井の下地は、ボードと野縁・野縁受けでおよそ75mmを見込みます。施工誤差もあるため、余裕をもって検討することが大切です。手間はかかりますが、ダクトや配管のルートを検討するときに大きな差が出ます。
天井と構造の隙間が見える
断面で有効スペースをひと目で確認
下地分を見込む
ボード+野縁・野縁受けで約75mm
施工誤差も考慮
余裕をもったルート検討を
4. 梁とスラブを属性化する
続いて構造図です。「配管やダクトを描く前に、ここまでやるの?」と思われるかもしれませんが、ここが一番大切です。どんなに手間を省きたくても、梁だけは必ず属性化しておきましょう。スラブの厚みや段差も同様です。
構造の属性を間違えると、梁を貫通できない位置にダクトを通してしまうなど、現場で致命的な手戻りにつながります。「建築図を制する者が設備を制する」と言っても過言ではありません。
BIMの時代になっても、白図化の考え方は変わらない
2026年4月から、建築確認でBIMを活用する「BIM図面審査」が始まりました。今後は、設計の段階から意匠・構造のBIMモデルを受け取る機会も増えていくはずです。
ただ、受け取るデータが2DのCADから3Dのモデルに変わっても、「設備の検討に必要な情報を見極めて整える」という作業の本質は同じです。むしろ、受け取ったモデルの精度を確認し、設備側で使える状態に整える力の重要性は、これから増していくと考えています。
まとめ
施工図は、いきなり配管やダクトを描くところから始まるのではありません。建物を理解するためのベース図づくりこそが、納まりのよい施工図への第一歩です。建物によって、設備が通せる空間はまったく異なります。
ぜんりょう設備企画でも、施工図やBIMモデルを作成するときは、必ずこのベースづくりから始めています。これからも、施工図や設備BIMに関する実務の情報を発信していきます。


